いよいよ異世界へ

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「これにて、第187104回異世界派遣試験を終了とする!」 社長の言葉をもって、今年の試験は終了した。 「信じられねぇ……落ちこぼれのキリが1位通過なんて……」 「長年チャレンジしてたにしても、まさか合格するとは……」 社員が騒めく中、俺は悠々と会場を後にした。 この死後の世界、霊界ではこの「異世界転生」が唯一生き返る手段だ。 生前は天国だの地獄だのって話があったが、あれは全くの嘘っぱちだった。 人が死んだあとは皆この霊界にやってきて、二度目の人生を過ごす。 そうして、生前やり残したことをこの霊界で全て成し遂げると 人は無に返る。 しかし、不思議なもんだ。 ほんの187104年前まで生まれ変わることができなかったっていうんだからさ。 俺が勤めている会社「異世界救世主派遣カンパニー」はその生まれ変わりを実現させて特許を取った会社だ。 システムとしては、年に一度、様々な世界、つまり異世界からのSOSを探知して、その世界に自社で鍛え上げた勇者を送り込んで、その世界の安寧を死ぬまで保つってものらしいが、 実際には、普通に生活してても全然問題はないらしい。 実は、その勇者を転生させるまでには少し時間がかかるのだ。一年後なのか、はたまた百年後なのか だから、その間にその世界の安寧が既に確保されていれば、送られた勇者はお役御免として普通に生活するほかない、ということらしい。 そして、その送られる勇者、つまりこの俺、キリは今年の勇者に選ばれたのだ! 4444回目の挑戦でやっと合格しただけあって、達成感がビンビンだ!
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