いよいよ異世界へ

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「いやぁ、見事なもんだ。 まさか本当に刀一つで合格するなんてな!」 教官が満足そうに俺の方を叩く。 「ありがとうございます教官! 正直、教官に指導していただけてなかったら、今頃諦めていたと思います」 俺は深々と教官に頭を下げる。 「いいや、俺はお前に教えただけだ。 実行したのはお前だ、これはお前の努力のたまものだ。 もはや、お前に剣術で敵うものは現世にも霊界にもいないだろう。 よくやったな、キリ」 その言葉を聞いたとたん、涙が溢れてきた。 「おいおい、おまえも今年で5000歳だろ? まったく、歳食っても見た目とおんなじでガキだなぁ」 「……すみません、嬉しくて」 「とにかく、お前は合格した! これは変わらん。 だから胸張って行ってこい!」 「ありがとうございます教官! それでは、お元気で!」 教官と最後の挨拶を済ませて、俺は社長室へと向かった。 「まったく、慣れねぇな……何回経験しても……教え子との別れはよぉ……」 そんな教官の涙は誰も見ることはない。
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