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「そこの荷台!止まりなさい!!」
大きな声が聞こえる、どうやら門までついたようだ。
「おい、早く通行証・関所札・身分を証明できるものを出せ!」
門番のオッサンが荷台の前まで来る。
「そんなもんは持ってないけど、ここにいる貴族の娘コロナを連れてきた。開けてくれないか?俺の予想だと貴族の娘で捜索願いが出ている子供がいるはずだ」
すると、門番は馬鹿にするなといった顔でふんっと鼻息を出す
「貴族の娘だぁ~? そんな汚い格好のやつが? 笑わせんじゃないぞ! 貴族、王族の中で行方不明の娘がいるなんて連絡はないし、コロナなんて名前は、王女のコロナティリア様ぐらいだ。嘘をつくならもっとマシな嘘をつくんだな」
「げ、しまった!?」
(確かに、こんな草木でできた服を着てるのは流石におかしいし、名前もコロナ としか聞いていない。コイツの話が全部でたらめだったらここが通れないのは当たり前じゃないか!)
キリは今更そんなことに気がついた。
「怪しいガキどもだなぁ~……、とりあえず身柄を拘束しておくか……」
「げげ、そりゃまずい! 逃げるぞフロン!」
キリは荷台を捨ててコロナを担いで飛び出した。
「あぁ、待ってくださいキリ様ぁー!」
「おい!乱暴に担ぐんじゃねーよ!」
それを門番はただ黙って見ていた。
「ふん、ワルガキどもめ。大方近くの村のガキだろうが……見たことない顔だったし、今回は大目に見てやるか。さぁーて、パズルの続きでもやるか!」
自分の欲に忠実な、優しい門番であった。
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