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「なぁ、ほんとにここは王都なのか? どっちかというとコレって……」
「あぁ、さながらスラム街って感じだろ? ここはかなり前からこんなだよ。大きくなりすぎて、王都の警備隊も取り締まりきれないのさ」
城壁の向こう側にあったのは、王都とは思えないほど荒んだスラム街だった。
あちらこちらに、ボロボロの服を着た人がたくさんいる
だが
「コロナが言ってる王都の乱れってのはここのことじゃないんだろ?」
「そうさ、ここだけじゃない、内側の方までも荒んできてんのさ。ただ、スラム側から都心に行くのは骨が折れるぜ?」
「構わないさ、地道にやってくのは嫌いじゃない」
そんなこんなで、三人でスラム街を歩いていく。
「あ、フロンちゃんは隠れときな! ここじゃ妖精なんて見つかったらどんなことになるか……」
「は、はい!隠れときます!」
フロンはキリの懐に隠れる。
が、
後ろから人の気配がする。
「遅かったか……」
「おーい、そこの兄ちゃん!」
キリたちの後ろから声がする。
振り返ると、見るからに悪そうな男が二人
「そう、あんただよ。身なりの綺麗な兄ちゃん。みすぼらしい俺たちに寄付してくれねぇかな、持ち物全部な、ヒヒヒ……」
「隣の嬢ちゃんも置いて行ってもらっていいんだぜ、へへへ……」
すると、キリはニッコリと微笑む。
「悪いな、実は俺たちも持ち合わせがなくてな。逆にもらっていくよ、持ち物じゃなく情報をね」
キリはゆっくりと斬切を抜く。
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