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「ふぅ……やれやれ、とんでもない目にあったなぁ」
「驚いたよキリ。あんたマジに強いんだな、少し見直したよ。あのロゼ騎士団長とやりあって傷一つ負わないなんてさ」
コロナは目を見開きながらそう言う。
キリたちはもうすぐスラム街を抜けて都心へ入ろうとしていた。
「なぁ、さっき聞きそびれたんだけど、その王都防衛騎士団ってのは何なんだ?」
「あぁ、王都防衛騎士団ってのは……言うなれば、警察の上位互換ってやつかな。この王都すべてを取り締まることのできる、権力を持った武装集団さ」
「なるほどな、そんな便利な武装集団なのに、やけに統率が取れていたな。なんかこう……ビシッとしていたっていうか」
「そう、統率が取れているのは、あの騎士団長ロゼ・ソーンハートがいるからさ」
「ロゼ……あの偉そうな女か」
「あの女が強すぎて、誰も逆らえないのさ。あいつは王都のためなら何でもやるやつでさ、賊の討伐、拷問、警備、スラムの掃討……まさに、鉄の女って感じだね」
「でも、それだけじゃないんだろ? あの女からは妙な気配を感じたぞ。特にもう一本の携えた剣からな」
「すげぇなキリ、そんなことまで分かるのか。そうだよ、あの女は七つの魔神剣の一本、武知(むち)を所有しているんだ」
(やはり……あの感じ、どこかで感じたことがあると思ったら、霊界で斬切を渡された時に感じたあの感覚によく似ているんだ)
キリは自分の分析が正解だったことに戸惑いを隠せない。
初めて自分以外の魔神剣との出会いだからだ。
「安心してくださいコロナさん!」
そこにズイッとフロンが胸を張って割り込む。
「何を隠そう、このキリ様が腰に携えているのも、また魔神剣なのです!!」
フロンが誇らしげにキリの腰の斬切を指差す。
「な、なんだって!? マジかよキリ!!」
コロナも驚いてはしゃぎ出す。
「わかった、わかったから少し落ち着いてくれ……」
マイペースな二人に若干疲れつつあるキリであった
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