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「そうだキリ様、確認したいことがあったのを忘れていました」
フロンが急に真面目な顔に戻る。
「お、どうしたんだフロン」
「キリ様はいいとして、コロナさんはこの格好のまま都心に行ってもいいのでしょうか? 私、人間のことはよくわからないところが多くて……」
「あ、そういえばそうだな」
完全に念頭から外れていた
「フロン、もうコロナの手の拘束解いてやってくれ。もう逃げたりなんてしないだろうしさ、一人じゃあの騎士団長をなんとかできないだろうし」
「わかりましたキリ様! よっと……」
フロンが手をかざすと、コロナの手を縛っていた植物が解けていく。
「ありがとなフロン」
コロナは自由になった手でフロンを撫でる。
フロンもまんざらではない顔をしている。
「となると、服を買わなきゃいけないか。なんかこのへんに服屋はないのか?」
「もうすぐ都心だから服屋はたくさんあるけどよ、私は今持ち合わせがないぞ? お前ら金持ってんのか?」
「うっ……」
当然持っていない。いつぞやかにくすねた金も、道中の食事でほとんど消えてなくなっていた。
「ったく、情けねーな。それでもいいや、ある分貸してくれよ。古着屋探して何とかするからさ」
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古着屋を探して小一時間。
ちょうど、スラム街との境界線といったくらいの場所で一件の古着屋を発見。
コロナがいま服を選んでいるところだ。
「待たせたな! さぁ行こうぜ!」
出てきたコロナはショートパンツに模様の入った半袖のシャツ。綺麗な金髪も、髪留めで結わえてさっぱりしている。
「お、似合ってるじゃん。ま、コロナは元が結構美人だから何着ても似合いそうだけどな」
キリは何気なくそんなことを言う。
「な、何言ってやがる!! さっさと行くぞ!!」
コロナは頬を赤らめてズンズンと先へ進んでいく。
「キリ様……」
フロンが頬を膨らませてキリをジトっとした目で睨む。
「ふ、フロン、どうしたんだ? 怒ってるのか?」
「知りません!!」
そう言い放つとフロンまで先へズンズン進んでしまった。
「女ってよくわかんねぇな……」
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