第16話 公園で十分

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第16話 公園で十分

 翌朝は、慣れない路線を使うこともあって早めに家を出ることにした。  出勤の準備をしてリビングに降りていくと、まだ誰の姿もない。  鉢合わせたら気まずいと感じていたから胸をなでおろす。  ふとホワイトボードを見ると、『美』と書かれたマグネットが増えていることに気づいた。  誰かがわたしの分を作ってくれたらしい。  そういう心遣いに胸が温かくなる。  少し悩んでから、「残業のため夜九時過ぎに帰宅」と書き込み、静かに家を後にした。  大して迷うこともなく出勤する。  他の社員に挨拶をしながら席についた。  メールのチェックをしているうちにいつの間にか始業時間十五分前になり、いつものミーティングルームへと移動した。  連休中の報告や、連休明けの進行スケジュールの読み合わせを行う。 「それじゃ、今日もよろしく」  龍禅の声を最後に、みんなは足早にミーティングルームを後にした。
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