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ちょうど、コーヒーが入ったくらいにタイミングよく楓がお風呂から上がった。泣いていたのだろうか、目が赤く腫れていた。
「ゆっくり飲んで落ち着きなよ」ナツはにっこり微笑んで、マグカップを渡す。
「ありがとう」楓は素直にマグカップを受け取り、ゆっくりコーヒーを飲んだ。淳はその様子をただ静かに見ていた。
一口、二口飲んで楓はマグカップを机の上に置いた。
「ごめんなさい」小さな口で静かにつぶやいた。
「何が?」
「迷惑をかけました。本当にごめんなさい」
「謝らなくていいよ。淳が勝手につれて帰ってきたから」
「私が捨てられた子犬を勝手に拾ってきたみたいな言い方やめろ」下を向き、黙る楓。
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