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淳は驚きを隠せない様子で、その人物に声をかけた。
「か、楓ちゃん?」その人物は、楓だった。雨でびしょびしょにぬれていた。それ以上に、楓がすごく暗い表情をしているのが気になった。
「あ…」楓はとてもつらそうにうつむいた。
「どうしたの?」淳はそっと手を伸ばした。しかし、楓はその手を払った。
「…私に関わらないで」
「なんでそんなことを?」すると、うつむいていた楓は淳をにらみつけた。思わず、身体を引いてしまう。
「お願いだから」淳は一瞬考えたが、すぐにケータイで電話をかけ始めた。
「ナツ?今からお風呂沸かして。じゃ」
「ちょっと待てよ」言い終わる前に電話を切った。そして、楓の腕をつかんで、楓を立たせた。
「風邪、引くからうちにおいで」
「でも!」
「それからまた話しは聞くから」淳の考えは変えられないと察した楓は罰が悪そうに淳と一緒に淳の家へと行くことに。
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