54人が本棚に入れています
本棚に追加
/96ページ
「ご迷惑をおかけして本当にすみませんでした」震える声で楓はそうつぶやいた。
「楓ちゃんは気にしなくていいよ」ナツは笑顔でそうつぶやいた。しかし、楓は納得していない様子だった。
「どうしてそこまで優しいの?私なんか…」
「逆に何が楓ちゃんに引っかかってる?私たちは普通に接してるけど」楓は淳の目をじっと見つめた。淳も静かに楓を見つめた。
ーつらそうだ。淳はそう感じ取った。何かを我慢しているような、何かを伝えたい。けど、甘えることすら嫌がっている。
淳はゆっくり楓の頭を撫でた。
「甘えてもいい。今は甘えてもいい」優しく、ゆっくりと…。楓の瞳からは涙がこぼれていく。
最初のコメントを投稿しよう!