サクラサク

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胡桃も手を振り、文香と二人で駆け寄る。 「鈴菜(すずな)! 鈴菜もイメチェン!? 髪の雰囲気違ーう!」 鈴菜は自慢気にボブヘアーを指で触りながらニヤリと笑う。 「分かった!? 春休みについにストパーデビューですよ♪」 さらさらとして陽光に輝く鈴菜の黒髪を 文香はうっとりと見つめながらも、少し暗い顔をする。 「二人とも綺麗になったけど・・・・・ 大丈夫かな・・・? ここ、校則緩いって聞いたけど、入学式からそんな感じにしたら、先生に目つけられるんじゃ・・・?」 鈴菜は文香の肩をどーんと叩いて笑う。 「もう!真面目過ぎるんだから、文香は!! 入学生見たって、文香みたいな子、少ないじゃん! あっ、でも胡桃のは、ちょっと目立ち過ぎるかも。 可愛いけど、遠くからみたら、花挿してるように見えたし」 胡桃は桜の髪留めを撫でながら横目で見る。 「・・・そうかなあ? 入学式だし、華やかで良いかと思ったんだけど・・・ でもこのくらいしないと、運命の恋ってゲット出来ないでしょ!?」 「運命??」 文香と鈴菜が同時に首を傾げると、胡桃は目を爛々と輝かせる。 「そうよ、運命! 私は恋も勝ち取るの!! 衝撃的な出会いだとすごく良いわ!! 木の上からどーんと落ちてきてキスしちゃったり、 廊下の角を曲がろうとしてぶつかって一目惚れしちゃったり、 満員電車の中で電車が揺れてキャッて抱き合っちゃったり~ そういう些細なきっかけから発展する恋愛がしたいのよね~♪」 文香と鈴菜は互いに顔を見合わせた。 生き生きとした表情で熱く語る胡桃に掛ける言葉が見つからない。 だが無言も良くないと思い、文香は遠慮がちに言う。 「・・・確かに衝撃だね。 ・・・何かイタイ・・・じゃなくて、大恋愛になってそう・・・」 「・・・胡桃ってさ、そういうの、理想なの・・・? 」 鈴菜の問いに胡桃は笑いながらくるくる回る。 「そうだよ♪ これぞ運命って思える瞬間から恋が始まるの!! さあ、早くカッコいい人見つけよう♪」 文香は、ぴょんと跳ねる胡桃を見ながら心配そうに言う。 「・・・あのさ、もし、あのこと 気にしてそんなこと考えだしたんなら・・・」 文香の発言は胡桃の黄色い声にかき消される。
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