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「俺、ずっと松本さんが好きやってん。松本さんが良かったら、付き合ってくれへん?」
この言葉は、私にとてつもない衝撃を与えた。だって、だってね、あの白石蔵ノ介くんだよ?女子の注目の的、告白されてる所だって何度も見た事があるの。
私、一度も白石くんと関わった事なかったのに。
「……」
「俺な、中1の入学式に初めて松本さん見てかわええ子やなぁ思てん。んで、同じクラスなれたんめっちゃ嬉しくて…ずっと見てた」
「…!!」
「松本さん、場和ますん得意やろ?その雰囲気とか性格に俺はだんだん惹かれていったんやと思うねん。やからもし良かったら…付き合ってほしい」
嬉しいよ。すっごく嬉しい。だけど…私でいいの?きっともっと、いい子が現れる筈。
「き、気持ちはすっごく嬉しいんだけど…」
「…?」
「白石くんには、もっといい子がいると思っ…!」
言葉が遮られたのは、白石くんが私を抱きしめたせい。
「松本さんがええねん!いや、…松本さんじゃないとあかんねん!2年間ずっと見続けてて…他の女の子なんて考えてられへん」
それほど彼は私を想ってくれていたんだね。私はそれを知ろうともしなかった。「松本さんじゃないとあかんねん」この言葉を聞いただけで、心がほっこり温かくなって。
一緒にいたい と思った。
「…私で良ければ、お願いします」
「ほ、ほんまか!?めっちゃ嬉しいわー!じゃあ、これからもよろしくな、…千夏」
抱きしめる力が強くなった。けど、苦しいって気持ちより、あぁ、愛されてるんだ。って思ってしまった。
中学校3年生になった春、初めて"彼氏"という特別な存在が出来ました。
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