第1話

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あっれー?美咲ったら~。 佐柄先輩に恋しちゃった? んもー、面食いね~。 朱里は私にそう言い残してさっそうと帰ってしまった。 一人教室に残された私は、朱里が言い残した言葉を何度も頭の中でリピートしていた。 私が、あの人に恋? 一度も恋をしたことがない私にはわからない感情だった。 恋だの愛だのみんなが言うけど、その話にいつもついていけないでいた。 だから、この気持ちが恋だなんて誰にもわからない。 もちろん、私にも。 「恋じゃ、ないよね。」 ただそれを私は自分に言い聞かせた。 「なにが?」 後ろから声が聞こえてとっさに振り向いたら、そこには佐柄先輩がいた。 「え、え…?」 「なにアホ面してんの?」 「してません。」 ほんと、この人失礼。 そうよ、こんな失礼な人に私が恋するはずがない。 「てか、こんな時間までなにしてんの?」 先輩にそう言われ、ふと時計を見るともう6時30分を過ぎていた。
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