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あっれー?美咲ったら~。
佐柄先輩に恋しちゃった?
んもー、面食いね~。
朱里は私にそう言い残してさっそうと帰ってしまった。
一人教室に残された私は、朱里が言い残した言葉を何度も頭の中でリピートしていた。
私が、あの人に恋?
一度も恋をしたことがない私にはわからない感情だった。
恋だの愛だのみんなが言うけど、その話にいつもついていけないでいた。
だから、この気持ちが恋だなんて誰にもわからない。
もちろん、私にも。
「恋じゃ、ないよね。」
ただそれを私は自分に言い聞かせた。
「なにが?」
後ろから声が聞こえてとっさに振り向いたら、そこには佐柄先輩がいた。
「え、え…?」
「なにアホ面してんの?」
「してません。」
ほんと、この人失礼。
そうよ、こんな失礼な人に私が恋するはずがない。
「てか、こんな時間までなにしてんの?」
先輩にそう言われ、ふと時計を見るともう6時30分を過ぎていた。
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