第1話

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しばらく私たちは無言で歩いていた。 先輩は腕を組んで下を見ながら。 私は借りたマフラーを巻いて手を口に当てながら。 そして、なぜかお互いさっきよりも距離を開けながら歩いていた。 わからないけど、なぜか近くによれない。 胸が苦しくなってしまって。 先輩はきっとそれに合わせて距離を開けてくれたのかもしれない。 ただただ黙って歩いていただけなのにいつの間にか家の近くまで来ていた。 時間ってこんなたつの早かったっけ… そして家の前までついて私は先輩にマフラーを返して、ペコッと頭を下げると、先輩は「ん。」とだけ言って、帰っていった。
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