第26話 真意

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第26話 真意

 新しい週が始まり、いつもどおり忙しい日々が過ぎて行った。  水曜日の午後。  会議が終わってフロアに戻ったところで、臼井さんに声を掛けられた。 「先輩、丁度良かった。主任のハンコが欲しいんですけど、先輩が押してもらえませんか?」 「え? どうして?」  主任の席に目を向ければ、海斗の姿はない。  そういえば打ち合わせで社外に出ていたかもしれない。 「急ぎで承認印をいただきたいんですけど、主任、今日は戻りが未定らしくて。電話を掛けたらこちらで判を押して構わないって言われて……」 「だったら押せばいいじゃない」 「どこにハンコがあるかわからなくて」  海斗の席は決して汚れているわけではないけれど、とにかく書類の数が多い。  手を出しにくい雰囲気があるのは事実だった。
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