第26話 真意

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 仕方がないなぁと呟いて、一番上の引き出しを開ける。  わたしはいつもここに入れておいたから。  案の定、印鑑はそこに綺麗に納められていた。 「わかりやすいところにあるじゃない」 「へへぇ。先輩にもこの書類をもう一度チェックしていただきたくてぇ。ついでにミーティングについて来てもらえたらありがたいのですが」  なるほど、そっちが目的だったわけね。 「夕方からなら少し時間が取れるけど」 「ありがとうございます!」  本当に調子がいいなぁ。  でもこういうかわいらしい子が結局はモテるし、幸せになるのよね。  判を押して、印鑑を引き出しに戻そうとしたところで、ふと黄色いファイルが目に入った。  このファイルはたしか……。  思考を巡らせて、先週、主任補佐になる話をしている時に海斗が持っていたことを思い出した。  そういえば、あの件はどうなっているのだろう。
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