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「相変わらず怖いな、お前は」
理不尽だと思うのに、どうして簡単にもこの人の言葉には傷ついてしまうのだろう。
ちくんと痛む胸を見ないようにして話しを続ける。
「業績は十分だと思います。金属部への異動をお断りしたからですか?」
「……まぁ、そうだな。会社からの指示は断って、自分勝手な人事を希望する。組織でそれは許されないな」
まるでわたしが一方的に悪いような言い草に腹が立った。
「会社からの指示ではありませんよね。安藤部長、個人のご意見だったように思うのですが」
「…………」
反論ができないのか、安藤がこちらを射抜くように睨み付けた。
怖くて身が竦む。
敵に回してはいけない人だと感じた。
どうして敵対関係になってしまったのだろうと、この期に及んでも悲しくなる。
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