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「たとえ金属部へ異動したとしても、部長のご期待に添えないと思います。仕事についていくことがやっとで、他まで手が回りません。でしたら主任補佐としてこちらで頑張っていきたいのです。だから……」
「お前さ、まだわかんないかな?」
肘掛椅子に座っていた安藤が、手に持っていた書類をバンッと机に叩きつけた。
その音に驚いて、びくんと肩を震わせる。一瞬で空気が凍りついた。
「目障りなんだよ!」
あまりに汚い罵りの言葉に心臓が潰れそうなほど痛くなった。
「お前が主任になってから、俺の愛人だとかなんだとかくだらない噂が蔓延して。なまじお前が美人すぎるからだろうな。専務はそれを信じてご立腹。嫁もぎゃーぎゃー騒ぐようになって、いい迷惑なんだよ。やっと降格させて辞めるかと思ってたのにしぶとく居座りやがって、あげく主任補佐? させるわけないだろ」
あまりに衝撃的な内容に立っていることがやっとだった。
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