第26話 真意

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 あの降格人事は安藤が仕組んだことだというの?  スパイがどうとか、あんな話は初めからどうでもいい話なのだ。  単にわたしが異動すればやっかい払いができるし、さらに仕事についていけずに潰れればいいと計算したのだろう。  やっと降格させたのに、主任補佐になんて昇進させるはずがない。  安藤の真意さえわかれば、全ての辻褄がぴたりと当て嵌まった 。  海斗は役職を望んでいなかった。たまたま異動してくることを知り、それに託(かこつ)けてわたしを降格。  未来の部長なんて目されている海斗のことも、平社員として野放しにして好き勝手させるより、自分の下に入れておいた方がうまく利用できるなどと考えたのかもしれない。  わたしは何も言えなかった。  たぶん、この人には何を言ったって伝わらない。  伝えられない言葉が瞳に溢れてくる。  悔しい。  こんな簡単にめちゃくちゃにされてしまうことが悔しい。  力がないことが悲しい。  どうしてこんな目に合わなくちゃいけないの……。
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