第27話 賭け

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「改めて、柴美織さんの主任補佐の申請書類を提出します。過去五年間の実績も一覧にしてまとめさせていただきました。不備はないはずです。承認願います」  実績の一覧?  それも過去五年に渡って、わざわざ調べてくれたの?  涙を引っ込めて、海斗の後姿を黙って見上げた。  斜め後ろから見える彼の顔は感情を湛えず、静かだった。  怖かった思いがどこかへ消えていく。この人がいれば大丈夫だと思えた。 「却下」  海斗が机の上に置いたファイルは無残にも床へ投げ出されてしまった。  安藤のあまりの態度に怯える。  彼は不敵にせせら笑っていた。
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