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電話に割り込んできたキャッチは個人の客で、夕べ俺から電話をしていた人物だった。
なかなか連絡のつかない人物なだけに、今のタイミングを逃せなかった。
話の続きが気になったが、お袋に告げる。
「ワリイ、客から電話だ。すぐまた掛け直すから」
返事を待たずに電話を切ってキャッチの相手に切り替えた。
「お待たせしました。わざわざお電話をありがとうございます。来週の件なんですが…」
夕べ確認しようと思っていたことを一つずつ並べた。
相手は年配な上に耳が遠いので聞き取りに時間がかかった。
「…じゃあ来週、火曜日の10時にお待ちしています」
やっとで電話を切って
着信履歴からお袋を表示させる。
すぐに掛けたが…
電話はコールするばかりで母は電話に出なかった。
「おい、おい…ひかるがどうしたんだよ…?」
独り言を呟きながら
俺の一日は気持ちが落ち着かないまま始まろうとしていた。
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