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「確かに……今日の直ちゃんは真っ赤なマニキュアをしていた! なっ、じゃああれは、死体の一部……?」
――フフフ……ジジジッ――フフフ――
気色が悪いと思いながらも、その音に聞き耳を立て、モニター画面に集中した。
揺れている影が、だんだんと暗闇から色を露にする。やがて着物を纏った、背丈の小さい背中が見えた。
――おかっぱ? 男の子なの? それとも女の子?
漆黒の黒に帯が艶やかな紫。その小さな肩からは、直子のペディキュアが塗られた親指や人差し指が、ちらちらと見え隠れしていた。
「座敷わらし……? そんな撮影を昔やったよな――似てないか?」
「でも陸也、座敷わらしって本来幸運な妖怪でしょう? 死体なんて持たないわよ……」
ノイズに混じり、三人が生唾を飲み込む。見たくない、だけど現実から目を逸らすことはできない。
幼子はジリジリと真っ直ぐに壁を目指して歩いているようだった。
モニターに映し出されている壁面。そこの一部に立ち止まり、幼子は横を向いた。
――ジジジッ……ハハハ……ジジジッ……
その横顔は口を開けて笑っていた。あの牛と同じような微笑み――異質な笑い。異様に口角が持ち上がっている。その口元からは小さな牙が見え隠れしていた。
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