第5話

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「確かに……今日の直ちゃんは真っ赤なマニキュアをしていた! なっ、じゃああれは、死体の一部……?」 ――フフフ……ジジジッ――フフフ―― 気色が悪いと思いながらも、その音に聞き耳を立て、モニター画面に集中した。 揺れている影が、だんだんと暗闇から色を露にする。やがて着物を纏った、背丈の小さい背中が見えた。 ――おかっぱ? 男の子なの? それとも女の子? 漆黒の黒に帯が艶やかな紫。その小さな肩からは、直子のペディキュアが塗られた親指や人差し指が、ちらちらと見え隠れしていた。 「座敷わらし……? そんな撮影を昔やったよな――似てないか?」 「でも陸也、座敷わらしって本来幸運な妖怪でしょう? 死体なんて持たないわよ……」 ノイズに混じり、三人が生唾を飲み込む。見たくない、だけど現実から目を逸らすことはできない。 幼子はジリジリと真っ直ぐに壁を目指して歩いているようだった。 モニターに映し出されている壁面。そこの一部に立ち止まり、幼子は横を向いた。 ――ジジジッ……ハハハ……ジジジッ…… その横顔は口を開けて笑っていた。あの牛と同じような微笑み――異質な笑い。異様に口角が持ち上がっている。その口元からは小さな牙が見え隠れしていた。
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