6人が本棚に入れています
本棚に追加
「ふんっ。僕はずっと久実ちゃんが好きだったんだ。そんな僕が気付かないとでも? カメラのレンズで熱い眼差しを隠していただろう?
見え見えだし、そんな陸也をいつも可哀想だと思っていた。小心者で、僕みたいにアピールすら出来ないんだからね!」
――陸也が? そんなの今まで感じたことないよ。それに、この状況でそんな話……困る。
「お前、馬鹿じゃねーの! 冬馬がいなくなった途端、やきもちか? クズだな」
「それじゃあ陸也は、久実ちゃんを好きじゃないんだな! 絶対に手を出さないでくれよ!」
茂の思いは一度ちゃんと断ったはずなのに、絞り出す声に面を食らった。
――どうしよう。もう一度断らないといけないのかな。
動揺して、はめている指輪を手の平でぎゅっと握った。
最初のコメントを投稿しよう!