第5話

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「ふんっ。僕はずっと久実ちゃんが好きだったんだ。そんな僕が気付かないとでも? カメラのレンズで熱い眼差しを隠していただろう? 見え見えだし、そんな陸也をいつも可哀想だと思っていた。小心者で、僕みたいにアピールすら出来ないんだからね!」 ――陸也が? そんなの今まで感じたことないよ。それに、この状況でそんな話……困る。 「お前、馬鹿じゃねーの! 冬馬がいなくなった途端、やきもちか? クズだな」 「それじゃあ陸也は、久実ちゃんを好きじゃないんだな! 絶対に手を出さないでくれよ!」 茂の思いは一度ちゃんと断ったはずなのに、絞り出す声に面を食らった。 ――どうしよう。もう一度断らないといけないのかな。 動揺して、はめている指輪を手の平でぎゅっと握った。
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