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「嫌いだから……、憎んでいるからだよ」
憎んでいる……。
あまりに強い単語に胸が苦しくなった。
だって、海斗が……。
いつだって笑顔で他人を元気づけてきた海斗が……。
正義感に溢れて、まっすぐな海斗が……。
誰かを憎んでいるなんて。
怖いとか、嫌だとかそういうことじゃなくて……。
目の前にいる海斗の辛そうな表情に、胸が詰まって、勝手に涙が滲んだ。
「美織さん……ごめん、泣かせて」
そうやって困った表情を浮かべる海斗は、いつもの海斗だった。
わたしの目の縁を撫でる。
温かい手。
その手の温もりがわたしをドキドキさせるの。
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