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「いっ・・・てぇなっ!!誰だよお前っ!!
つーか足どけろっ!!」
「邪魔。そこどいて。」
女は俺の背中を踏んづけたまま、顔色ひとつ変えずにそう言った。
どこかを指差しながら。
「・・・・。」
よくよく見れば、屋上のいちばん高い所へ登る梯子への邪魔をしているのは俺だった。
・・・ここを登るつもりなのか?
危なくねーか?
つーかコイツ、梯子に足とどかないんじゃ・・・
「どいて。」
「・・・あんた1年?」
梯子の前から少しよけて、
まだ着崩れていない制服を見て尋ねる。
「それが何か。」
「・・・」
・・・なんて生意気な・・・。
かわいくねぇ。
「ぃよっと。」
「げっ」
絶対登れないと思っていた梯子に、ひょいと軽々飛び乗ったサルみたいな女。
「・・・あんた・・・
もーちょっと女らしくせんと、カレシ出来んぞ?」
梯子を登るサル女の背中にそう言葉を投げ掛けると
「・・・あんたは何年なの。」
という返事が。
1年のくせに態度デカい。
「俺は2年だ。」
登っていく背中を見上げながら律儀に答えると、梯子を登り終えたサル女がくるっと振り返って俺を見た。
ジーっと大きな目で青空をバックに
短い髪を海風に揺らしながら・・・
「あんたこそ。
もーちょっと筋肉付けんと女の子がっかりするよ。脱いだ時とか。」
「なっ・・・!?」
サル女はそう言うと、柵に手を置いて身を乗り出して、顔に手をかざしながら海を眺め始めた。
「おー、いー天気ー。」
などと、ご機嫌な言葉を発している。
「・・・」
「ぶはっ!!」
「笑うなっ佑哉っ!!」
絶句していた俺の隣で吹き出した佑哉。
ま、こんなサル女と関わる事なんて二度とないと思いながらも
“絶対あいてにするもんか”
と、心に誓った。
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