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シャワーを軽く浴び、バスタオル1枚巻いた姿で冷蔵庫を開けると、ひんやりとした気持ちいい冷気が胸元にかかる。
冷え冷えビールビールー。
・・・あ、出掛ける前に一人で飲むと唯に怒られるな。
仕方なく烏龍茶のペットボトルを取りだした。
お茶を飲みながら出掛ける支度を始める。
デニムのショートパンツの上に白のプリントTシャツを着て座椅子にもたれかかる。
長時間の立ち仕事によって、浮腫みを感じるふくらはぎをマッサージしながら瞼を閉じた。
和馬の声、5日間聞いてないや・・・。
最後に会ったのは、朝イチのラパコレに向かう和馬を見送ったあの日。
あれ以降、電話はおろかメールすら来ない。
和馬はいつもそうだ。
自分からは、ほとんど連絡をして来ない。
仕事が忙しいのかと気を使って連絡をしなければ、簡単に一週間は音信不通。
しびれを切らし、淋しさに負けて連絡をするのはいつも私の方だ。
「今から会える?」その言葉は口にできても、「どうして連絡してくれないの?」「もっと会いたい」そして、「淋しい」その言葉は、私の口から決して出ることはない。
感情のままに口にしてしまえば、全てが消えて無くなってしまう気がするから・・・。
初めから、それが私達の関係。
傍に居れば感じられる確かな温もりは、一歩外に出てしまえば簡単に掻き消される。
「和馬・・・会いたいよ」
膝を抱え掠れた声で呟きを落とす。
和馬は私に会いたくないの?
「いつも私ばっかり。狡いよ和馬・・・」
両手で顔を覆い隠し声が漏れるほどの大きな息を吐く。
その瞬間、部屋の電話が鳴り響いた。
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