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「怖い雰囲気か・・・確かに、人に厳しい人だと思う。でも、自分にも厳しい人だから、医者としては尊敬できるよ。性格、捻くれてるけど」
指でもて手遊んだ枝豆を開き、一個づつ実を口に入れた。
「えー。医者として尊敬できても、捻くれた男は嫌だな。女関係にはだらしないし、何がそうさせたんだろ」
唯は眉間に刻んだしわをますます深め首を傾げる。
「んー・・・、何だろ。お兄さんへのコンプレックスかな?」
「お兄さんへのコンプレックス?あ、MH医大の大学院にいるとか言う?」
「うん、そう。あと、複雑な家庭環境から来るものか・・・」
ノンアルビールを飲みながら、親友に続いて私も首を傾げる。
「複雑な家庭環境?結城先生の家って複雑なの?」
「はっきりしたことは教えてもらってないけど、家族と疎遠な感じがするんだよね」
「へえ・・・色々苦労してきた人なんだ」
隣で淡々と話す私をしげしげと見ながら、反応に困った様子で唯は苦笑いを浮かべた。
「あっ、もしかして、父親も女癖が悪かったのかも!DNAの力って侮れないからねー。蛙の子は蛙ってやつ?」
けらけらと笑いながら、硬い表情を保つ親友の肩をパチンと叩いた。
「浮気性の遺伝子が組み込まれた男なんて、ますます嫌なんですけど。・・・ホント、結城先生のどこが好きなの?」
唯は、私の脇腹に肘鉄で反撃しながら呆れた口調で問う。
「そうだなー、やっぱ体の相性かしら。和馬とのエッチは最高よぉ」
両手を合わせて「うふふ」と可愛い子ぶった声色を使う。
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