ホントノキモチ

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「分かってるけどさぁ。綾子はいい人を見つけたら別れるって言うけど、男見つける気なんて全然ないじゃん。 結城先生は綾子が何してても気にも止めてくれないんでしょ?だったら、綾子は自分から縛り付けられる必要ないよ!」 酒の影響か、今夜の唯はなかなかしつこい。 やはり和馬への不満を隠し切れないのであろう。口調を強め私に詰め寄る。  「別に縛られてるつもりはないんだけど・・・」 親友の勢いに押され、思わず肩を引上げたじろいだ。 「いや、綾子は縛られてる。雁字搦めもいいとこだ」  「唯、あんただいぶ酔ってきたね」 ・・・でも、縛られてるように見えるのかな。 和馬は確かに何も言わない。 私の行動を気に掛ける事もなく、そればかりか「俺は綾子を束縛するつもりは無い。好きな男ができたらそう言えばいい」・・・彼はさらりと言い放つ。 『束縛』今までの私なら絶対望む筈もない。 むしろ、とてつもなく不快に感じるものだった。 望んでいた、自分の生活スタイルを変えない、自由な恋愛。 それなのに、今の私は悲しいくらいに自由だ・・・。 今の私は自ら束縛を望んでいるのかも知れない。 大切に想われていると実感が欲しい。 「ちょっと綾子!聞いてる?合コン絶対に行くんだよ!綾子の人生変わる出会いがあるかも知れないでしょ?行って、存分に男漁りして来なさい!」 ぼーっともの思いに耽っていた私の顔を覗き込み、唯が口を尖らせる。 「え?・・・まぁ、考えとくよ」 気乗りしない私は、その場しのぎの愛想笑いでその場を逃れた。
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