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そう思いついたら、目の前が開けたような気がした。
海斗は、ネクストテクノロジーの力を利用して、海運商事を乗っ取るつもりではないだろうか?
それなら可能かもしれない。
あんな大企業に本気を出されたら、うちなんてひとたまりもないだろう。
ネクストテクノロジー社を背負う次世代の才気――。
そうだ、あの雑誌には、海斗がネクストテクノロジー社を「背負う」と書いてあった。
会社を背負っていくはずの貴重な社員をネクストテクノロジー社が簡単に手放すはずがない。
海斗とネクストテクノロジー社はきっと今でも繋がっているのだ。
そうして、海運商事の乗っ取りを画策している。
それが、海斗が言った、海運商事を潰すということなのかもしれない。
「……教えてください。わたしだって海運商事の社員です。会社が乗っ取られては困ります」
なかなか口を開かない橋谷部長をまっすぐに見つめて急かした。
彼は、それでも逡巡し、わたしから目を逸らす。
奥さんも橋谷部長を見つめていた。
気が付けば菜子ちゃんはすやすや眠っている。
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