プロローグ 人類が滅びた後の地球にて

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3 イタリア・フィレンツェにて。 ガシャガシャと金属が擦れる特有の音が滅びた街に鳴り響いていた。 人形の機械、とでも呼べばいいのだろうか。 人体模型を金属で組み立てたような異様な機械が軍隊のように綺麗に歩行していた。 数はちょうど二〇。 縦に五、横に四の『塊』は何かを探すように剥き出しの赤い瞳を動かす。 時おりキュイ、ギュンなどといった機械音が鳴っていた。 そんな機械の群れが規則正しい歩みを一斉に止めた。 その視線の先には整いすぎている美女がいた。 まるで絵画から取り出したかのような銀髪碧眼の美女は特徴的な格好をしていた。 下は下着が見えそうなほどのミニスカートに黒のニーソであり、ガターベルトが白い肌によって強調されていた。 上はヘソが見えるほど短い黒のセーラー服である。 彼女はサファイアのように光り輝く瞳が機械の群れをじろじろと眺めていた。 やがてニコリと微笑みを溢し、その華奢な右人差し指で機械の群れをびしっ!! を指差す。 「ふっふっふぅ。どう見てもアリサのほうが美しいデスッ。つまりアリサが上!! オマエラの敗北は決定デース!!」 降参するなら今の内デスよ? とせせら笑うアリサを無視して、機械の群れはそれぞれ戦闘準備を進めていた。 すなわち、両手首がパカッと折れ、断面から砲身が飛び出たのだ。 「うわっ。いきなりは反則デース!!」 「裏切リ者ヲ発見。排除開始シマス」 オーバーにのけ反るアリサをやはり無視して二〇の人形兵器の両腕━━━つまり四〇の砲身から赤いレーザーが掃射された。 ズバンッ!! と空気中のチリなどを焼くことでようやく可視できるようになる破壊がアリサを襲う。 光速の暴力を避けるなら光速で動くしかないが、もちろんアリサにそんなことはできない。 だから叩き落とした。 文字通り素手で四〇のレーザーを。 だが、いくらなんでも二本の腕で迫り来るレーザーをすべて迎撃することはできない。 だから三一のレーザーは的確にアリサへ炸裂し、あらぬ方向へ逸れていった。 「流石フォトンシールドデス。今日も素敵に完全に完璧に絶好調デース!!」 機械の群れの正体はアトランティスにとっては古くさい殲滅兵器だった(地球人が何百年もかけて到達できるかどうかといったレベルだが)。 だからこそ戦闘力は大したことがなく、だからこそこの場でスクラップにされたのは必然だったのだろう。
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