第一話 第四勢力の実情

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2 高槻ジンたちが住んでいる第一秘密基地は完全密閉の生活空間である。 何らかの方法で空気などを循環させ、専用の『畑』なども完備しているので、飢えや酸欠で死ぬ心配はないはずだ。 場所の問題で出口がないというより『作れない』のだが、どうせ外に出れば三勢力のいずれかに襲われて死ぬだけだから、出る意味がなかったりする。 外に出る用事があるなら、魔女モーガンの転移を使用するしか方法がないのは少し危険だろうが。 「到着っと」 ジンがみほちゃんを床に下ろしながら言う。 簡素な食堂だった。 古きよき食堂を『広くした上で』再現したのか、全体的に昭和な雰囲気が漂っていた。 広大な食堂を歩いていると、昼の稼ぎ時が終わったのにタンタンタンと包丁を振るっているオッサンがいた(食堂は一つだからライバルはいないのだが、油断していると女性は自炊しそうになる)。 ジンは片手を上げ、 「よーおやっさん。張り切って腕磨くのはいいが、食料だって限られてるんだ。あんま使い潰すなよ?」 「見くびるな。食料を無駄になどせん」 「そーかい。あ、机借りるぞ。あとジュース」 「ふん。地上で暴れることにしか興味を示さない貴様が子連れとは。どういう風の吹き回しだ?」 「なぁに。戦友が外で暴れてるんでね。その間に子守りとお母さんの素晴らしさでも話してやろうかなーと」 「…………話しすぎるなよ?」 「オブラートさんは控えてますよっと」 適当に返し、近くの椅子に座るジン。 隣に座ったみほちゃんがわくわくした顔でこちらを見るので、そんな無言の催促に答えるために彼は口を動かす。 「まずは、そうだな。お母さんがなんで『魔女』なんて呼ばれてるかからいくか。つーかみほちゃんも魔女なんだがな」 「? でも、わたし魔法なんて使えないよ?」 「そりゃそうだ。変態は色んな国、性別、年齢の人々を数ヵ所の秘密基地に集めて好き勝手弄ってたが、目に見える異常…………いや、力を宿したのは一部だけだしな」 お母さんを異常などと表現してしまったが、どうやら気にしていないようだ。 いや、意味を理解できていないのか。 (危ない危ない。つい口が滑っちまった) あまり過剰な表現は控えなければ、と内心思い直し、続ける。
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