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「出来損ないの子孫は消すことにしちゃったから」
その言葉が松海の鼓膜を刺激した直後の出来事だった。
ドロリ、と。
彼女の体が氷のように溶けていく。
荒川松海が最後に感じたのは死んでしまう絶望でも、溶解による激痛でもなく。
圧倒的なまでの快感だった。
絶対的な『力』による喪失が不可解なまでの悦楽へと変貌したのだ。
二二二二年二月二二日。
午後二時二二分の昼下がり。
世界中で死力を振り絞って生きていた人間は快感と共に消失した。
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