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日本・東京にて。
ぎゅうぎゅうに詰め込むようにビルやらなんやらを建てまくったかつての姿はどこにもなかった。
ビルは根こそぎ崩壊し、粉塵が風に乗って周囲に漂い、すでに電気、ガス、水道といったものが機能していないだろうことが伺える。
そんな廃墟と化した東京を異形の集団が我が物顔で歩いていた。
世界に蔓延り、生命体をことごとく変質、支配するウイルス『ノヴァ』が生み出した異形の者共。
彼らは大雑把に分類されている。
一メートル以下を『アルファ』。
一メートルから三メートルを『ベータ』。
それ以上を『ガンマ』と。
集団の構成は四足歩行の狼に角と巨大な牙をつけたような黒いベータが一五、その背に羽虫に似たアルファが一〇〇、彼らの中心に八メートル越えのぶくぶくに太ったゴブリンのような外見のガンマが一体。
おそらく巨大なガンマが司令官の役割を果たしているはずだ。
ノヴァはウイルスでありながら『何らかの意思』に従って行動していることが確認されており、ほとんどの場合で局地的な戦闘は一番強い者が指揮をしている。
ふと、ガンマが巨大な拳をギジッと握り締めた。
瞬間、彼らの眼前に青の光で構成された球体が出現。内側から弾けた。
そこに立っていたのは一人の少年だった。異形の二メートル先に立つ彼は外見に目立った特徴のない『人間みたいな男』だった。
黒髪黒目で高校生程度の年齢だろう。
どこかの高校の学ランを着た少年は左手をズボンのポケットに突っ込んでいた。
不敵な笑みを浮かべ、彼は右手を先頭にいる五のベータウルフへ向ける。
「滅亡の時間だぜ、同類ども」
それが合図だった。
それが唯一のチャンスだった。
それを逃したため、五のウルフたちの命運は決まった。
グチャッッ!! と。
その右手が爆発し、手首の断面から三本指の赤黒い触手が伸びる。
まずは真ん中のウルフからだった。触手は脳天を穿ち、股間まで貫く。
そのウルフの左右から無数の触手が放たれた。
右手から分岐した触手は左右のウルフをチーズのように貫き、鮮血を撒き散らし、新たな触手を生み出す。
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