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ユズは届いたメールを斜め読みすると無造作にポケットに突っ込んだ。
一拍子遅れてアスカが顔を上げると、
「姉御」
と声を掛ける。
心配そうに見上げるキィの頭に手を置いたユズは、大丈夫、と言い、続けて
「キィ、少しアスカと話をするから続けておいてくれ。すぐ戻る」
ユズはアスカに目でついて来るよう伝えると部屋を出た。
キィはふと、目の前にアスカのスマートフォンが置かれていることに気づく。
いけない事だと分かっていた。
それでも、手が伸びるのを、抑えることは出来なかった。
黒い端末を手に取り、電源を入れる。
画面はメールを開いたままだった。
キィは読むのは速くない。
だが、件名の時点で背筋が凍るように冷えて行くのを感じる。
内容を読むにつれ、不安が募る。
しかし、どうすればいいかなど浮かぶことはなかった。
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