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キィがチラリとアスカを一瞥すると、アスカはさっきまでと同じ表情でこちらを見ていた。
思わず目を逸らしたくなるが、ここで逸らせば同じことの繰り返しになってしまう。
アスカの瞳を覗くように視線を向けると、アスカは口を開いた。
「キィ殿? 拙者の顔に何か付いていますか?」
「あ、ううん、そうじゃないよ」
キィが答えると、さぁ、と目の前のティッシュを指差す。
しかし二人のやりとりを見ていたユズがそれを取ると、丸めてゴミ箱に放り込んだ。
「今日は終わりだ」
「あ、ごめんユズ……」
「怒ってるわけじゃねぇよ。最初からトバしてたら脳がやられるからな」
その言葉にアスカが同意し、立ち上がる。
そのままアスカは黙って部屋を後にすると、キィとユズの息遣いだけが響いた。
ユズはアスカが座っていた椅子に座ると、机に肘をついて頬を乗せる。
ジッと見つめるその瞳は吸い込まれそうになるほど真っ黒で、そして全てを見透かしているように思わされる。
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