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次々に溢れる涙で後悔という汚れを流し落とせたら、そう思ったところで何も変わることはない。
潤んだ瞳でユズを見上げると、そこにはいつにない優しい顔があった。
「言えるか?」
ぶっきら棒に放たれるはずの声が、何故今日に限って感情的に聞こえるのか。
でも、それがありがたく感じた。
コクリと頷いたキィは、口を開いた。
「あ、アスカに……酷いことしちゃった」
咎めて欲しかった。
お前が悪い、お前のせいでアスカが。
しかしユズは、そんなことはしなかった。
「アスカ! お前、買い出し行って来い!」
「御意!」
ユズが叫ぶと、部屋の外から返事が返ってくる。
声の調子からすると、洗濯でもしていたのかもしれない。
キィはユズの意図するところが全く分からなかった。
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