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そこに記されていたのは、殆ど全てがユズとキィのことであり、自分自身のことはごく稀にしか書かれていない。
ページをめくっても、めくっても、そこに書かれているのは二人のこと。
二人が楽しそうな時は文章も楽しそうに書かれている。
逆に辛い時は控えめな文章で。
まるで自分のことのように、二人のことが綴られた日記。
そして時折現れるアスカ自身の内容というのは、いつも決まって同じ文章だった。
「姉御とキィ殿は、拙者を認めていただけたのだろうか」
たった一文のそこには、大きな思いが込められているように感じ取れる。
アスカは、そんなことを思っていたのか。
「馬鹿だよな、アイツは」
後ろでポツリと呟いたユズは、スッとキィからノートを取り、パタンと閉じた。
「キィも、馬鹿だよ」
あった場所に戻し、行くぞ、とキィに告げる。
うん、と返事をしたキィは名残惜しげに視線を机に向けつつ、仕方なくユズの後を追う。
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