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アスカが買い物から帰る頃、ユズは入れ違いを装い家を出た。
理由は、当然二人きりにするためだ。
自分でも不思議なくらいにアスカに対する信頼は厚いものであり、キィと二人きりにしても心配はない。
ここまで誰かを信頼したことはあまりない、と今までを振り返ると何処か新鮮に感じた。
アスカが自分達に認めてもらおうと頑張っているのは本心であり、その頑張りはユズには全て伝わっていた。
そして、アスカは気付いているだろうがユズは今回の出来事を全て知っている。
キィ本人は気づいていないのかもしれないが、ユズはキィを常に自分の監視下に置いている。
正確には、キィの周囲を監視している。
ユズは自分の周囲に巡らしているアテナと同様なものをキィの周囲にも巡らしている。
きっとアスカはそれを感じ取っている。
だから先程から一言だけで思い通りの行動をしてくれているのだ。
「ったく、世話の焼ける二人だ」
広場に足を放り出して座ったユズは、青い空を見上げる。
相変わらず澄んだ青が目の前に広がる。
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