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10年前に突如現れた獣竜、そしてそれを狩る能力。
唯一人間が獣竜に立ち向かえる存在は英雄的であり、しかし人間同士においては差別の対象でしかなかった。
獣竜に倒すための唯一の希望、そこから戦術の神を司り、アテナと人は呼んだ。
武器を用いても抗うことの出来ない獣竜さえも殺すほどの能力、低確率で目覚めるそれは人間にも効果のあるものだった。
「人間はな、欲の塊なんだ」
柚は姫伊に向けて言う。
欲に溺れた人間は、人間を統べるためにアテナを乱用した。
アテナの使用者へ向けられる目は、救世主から悪魔へと突き落とされた。
いつしか人は彼らをガイストと呼ぶようになり、差別意識が殆どの「人間」に根付いた。
「よく、人生は迷路だって言う奴がいる」
柚は姫伊と飛鳥の目を交互に覗き込む。
その瞳は相変わらず真っ直ぐなもので、吸い込まれそうなほどに黒い。
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