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「行き止まりなら、別の道を探せばいい。いつかゴールに辿り着く」
柚の言葉に2人は聞き入り、そして頷く。
しかし、柚はその言葉を打ち破った。
「だかな、私はそんなことは認めねぇ」
目を瞑り、脳裏に映し出される人間の醜い姿に眉を顰める。
「一人の人間の未来なんて、周りの目に、批判に、嫉妬に、いとも簡単に潰されんだよ」
ギュッと握った拳を、熱い息とともに静かに解く。
「私らも、その内だろ、違うか?」
その言葉に2人は言葉を返せずにいた。
「行き止まりだから引き返す、そんなこと繰り返してたら自分を失っちまうだろ。
人生は迷路なんかじゃない。行き止まりも正解もねぇよ。ゴールは一つだけじゃねぇ」
そこまで言った柚はフンと鼻で笑うと、何言ってんだかな、と自虐的に呟いた。
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