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空を仰ぐと、雲ひとつない青が広がっていた。
姫伊もつられて目を細める。
「私、柚のそういう考え方、好きだよ」
ポツリと言う。
よいしょ、と言って立ち上がった姫伊はお尻についた砂を払うと伸びをする。
「柚、最近前向きになったよね」
クスリと笑った飛鳥も立ち上がると、拙者も、と呟く。
「姉御のそういう姿、尊敬しております」
座っている柚に笑顔を向けると、
「拙者も同じ考えです。我々は、まだ先が長い。諦めるのも時に肝心かもしれません。
それでも、自分を忘れることだけはしたくないものです」
フンと柚は鼻で笑う。
ゆっくり立ち上がった柚は、2人の頭をくしゃくしゃと撫でた。
「私が変わったのも、お前らのおかげだよ」
柚は小さく、ありがとな、と呟いてバイクに跨った。
姫伊にヘルメットを投げる。
「行くぞ」
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