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果たしてこのUSBメモリにはどれだけの価値があるものなのだろうか。
紛失でもした日には、この命がなくなるかもしれない。
それほどの剣幕で手渡され、そして報酬も大した額だ。
確かに距離は遠い。
なるべく獣竜のいない道をのんびりと走りたいものだが、それでも距離が伸びるだけ遭遇する確率も上がってくる。
距離で言うと500キロくらいなのだろうが、道路の舗装が痛んでいるために疎かな運転は出来ない。
3日で到着というのが妥当だろう。
これでも配達のスペシャリストと呼ばれるほどに依頼をこなして来た。
ガイストが勤めるとされているロードランナーに、「非ガイスト」の自分が名を連ねている時点で複雑な心境でもあった。
しかし、依頼中はそんなことを忘れることが出来る。
自分がロードランナーであるという自信、配達への信念、プライドが腕を鳴らす。
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