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「とりあえず、てめぇらは近くの街からロードランナーが来て連行する」
柚は血を流して倒れる盗賊達に向けて言う。
恐怖なのか痛みなのか、声は少し震えて返事をした。
「怪我人ばかりだが死人はいねぇだろ? まぁ逃げようなんてことは考えねぇ方がいい。
業務妨害罪が出されるかも知れねぇけど、証拠がなかったら無罪だ。
人を殺してたとしても汚染地は無法地帯だ、安心しな」
そう言って柚は立ち上がる。
姫伊は怪我の酷い者を心配そうに応急手当てをし、優しく声をかけていた。
柚は姫伊のそのようなところに強く惹かれ、憧れに似た感情さえも抱いていると自覚している。
飛鳥は盗賊達の言う「忍者」が近くにいないかを見張っている。
汚染地で一人戦う者に心当たりはあったが、忍者ではないし、さらにはこんなことはしないと自信を持って言えた。
「姉御、やはり奴じゃないですよ」
「……あぁ、みたいだな」
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