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まぁいい、と言った柚は盗賊たちを見下ろすと姫伊を呼び寄せた。
キリのいいところまで終わらせると柚のもとに駆け寄る。
「心配なのはわかるが、こんなことに構ってたらいくら時間があっても足りねぇんだ」
その言葉に小さく頷くと、うん、とつぶやく。
もうそろそろ行かないとね、姫伊はバイクの方向に視線を移すと、目を伏せた。
そんな姫伊の頭を優しく撫でると、行こうか、と静かに告げた。
「飛鳥!」
「御意」
見張りから戻った飛鳥は自分のバイクのもとまで行く。
刀を丁寧かつしっかりと結びつけると柚をむいた。
「姉御、今回は……」
顔をしかめる飛鳥に柚は、
「ああ、少し手こずりそうだ」
目を細めて言うと、ヘルメットを被った。
心配そうに二人を見上げる紀伊の頭を再び撫でると、
「私らを誰だと思ってんだ」
姫伊は笑顔を見せると、だね、とつぶやいた。
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