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しかしそれより、家族同様に慕ってくれている飛鳥の方が人間的に尊敬できた。
自分には至らない点が多い、しかしそれを許容し可愛がってくれる存在。
意思の強さを示し、しかし主張しすぎることはなく互いが力を発揮することの出来る最大のアシストをする。
驕ることのない姿勢や戦闘スタイルにさえ憧れを抱く姫伊は、飛鳥のような女性になりたいと思っていた。
並走する飛鳥を一瞥すると、前方に視線を凝らす様子が目に入る。
その飛鳥が視線をこちらに移した。
慌てて視線を逸らすが、飛鳥は柚とアイコンタクトを取っていた。
柚も飛鳥へ向くと、小さく頷いた。
その直後、二台のバイクは徐々にスピードを落とし、そして止まった。
「ど、どうしたの?」
姫伊が恐る恐る聞くと、柚と飛鳥はヘルメットを脱いだ。
「獣竜の縄張りに入っちまった」
「えッ?」
姫伊は首を巡らすが、獣竜の姿は見当たらない。
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