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「オーギュ……」
「ユズ……」
心配そうに見上げる姫伊に、大丈夫、と落ち着いて告げると飛鳥と目配せをする。
「姉御……この量……」
ざっと五十は見えるオーギュに首を傾げる。
本来は五から十頭単位で群れをなすオーギュがこれほどの数で群れを作っている。
それはこの群れが特殊であるのか、それとも汚染地の生態系が変わりつつあるのかは今すぐに特定することは出来ない。
「姫伊、目ぇ閉じとけ」
それでも確実であることは、オーギュは身の危険を感じると他の群れを呼び寄せる。
全滅させるしか術はない、ということである。
「拙者は二十」
「私が三十か」
飛鳥はスラリと闇ノ影胤を抜刀する。
柚は目を細めると、拳ほどの水の塊を作り出した。
「失敗は、出来ねぇぞ」
「御意」
ふぅ、と小さく息を吐き出すと、
「行くぞ」
「御意!」
2人は同時に走り出した。
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