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何が悪いのか分からなく、このまま一生あのクソ爺に追いつけないのではないのか、なんてことも考えてしまう。
その度に、今のように言いようのない怒りを感じてしまうのだ。
「キリ、なんか怒ってない?」
「は?別に怒ってねーよ」
顔を覗きながらサリアが言ってくる。
「ほら怒ってるじゃん。
さっきより明らかに不機嫌になってるし」
「なってねーって」
「なってますー」
「なってねーよ!勝手に決めつけんな鬱陶しいんだよ」
「鬱陶しいって何さ!」
暫く睨み合い、俺から先に視線を逸らす。
「俺、まだ仕事あるから。
それ食ったら勝手に帰れ」
「言われなくても帰りますよーだ!ふんっ!」
まだこっちを睨んでくるサリアを無視し、俺は部屋を出て厨房へと降りた。
「はぁ…俺何してだよ」
子供のようなことで喧嘩をしてしまった。
サリアは何も悪くないし、間違ったことも言っていなかった。
あの時確かに俺は下らない劣等感と妙な苛立ちで機嫌が悪くなっていた。
図星を疲れ、変に意地になってしまったのだ。
あーーーもう、何してんだよ俺は!
こんな下らないことで喧嘩なんかしたくはないってのに。
あーあ、今日仕事の後少しでもサリアとの仲を進展させられたらなー、とか考えてたのに台無しだっつーの。
さっさと謝るのが良いんだろうけど…。
「どんな顔して謝ればいーんだっての」
それにサリアの前に出たら気恥ずかしさからまた下らないことで喧嘩してしまうかもしれない。
もう少し小さい頃からまともに人と付き合っていればこう言うことにはならなかっただろうに。
まぁ小さい頃の俺に友人を作りなさいと言うのも無理な話だが。
ああ、こんな自分が嫌になりそうだ。
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