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第55話 失墜
六月が穏やかに過ぎて、カレンダーは七月へと変わった。
「主任、聞きました?」
朝一で臼井さんに声を掛けられ、わたしと八木くんは不思議そうに彼女を見つめる。
「さっき同期の女の子に聞いたんですけど、安藤部長、辞めたんですってね」
「……えぇ!?」
素っ頓狂な声を上げてしまい、慌てて口を押えた。
だって、だって、あの安藤が?
あんなにふてぶてしくて図々しくて根性悪の安藤が!?
信じられない。ありえないでしょう?
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