手を繋いで

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「ちょっと今井さん!」 ここは少し駅から外れたマンションの一室。 「服を剥がないで下さいってば!」 まだまだ片付けは終わってないどころか、始まってもいない段階なのに今井さんはもう床にごろんと寝転び俺の服を剥いでくる。 「んー。」 全く起き上がる様子がない今井さんに俺は溜め息を吐いた。 と、今井さんはごそごそとポケットから何かを取りだし俺に渡してきた。 「引田、それやるよ。」 涼しい顔をして今井さんはまた俺のズボンに手をかけた。 俺の掌にあったのは。 きらきら眩しくて、おおよそ俺には一生縁がないと思っていたもの。 エンゲージリング。 「わーーーー!!!!!!」 ここは駅から外れたマンションの一室。 真昼に猫が飛び起きる程の声が響き渡ったことは言うまでもない。 おわり
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