第56話 信じ抜いた心

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「はい、ストーップ。現行犯逮捕ー」  数秒もしないうちに、安藤が複数の人間に雁字搦めにされた。  な、何?  見れば、ネクストテクノロジーの御曹司、ジェレミーが立っていた。なんでこの人達が助けてくれるの? 「あ、勘違いしないでね、俺が助けたのは偶然。目の前で襲われてるの見ちゃったらね、どんなに嫌いな相手でも助けますよ」  嫌い……って面と向かって言われると、大して知らない人でも気分が悪い。 「あんたを守っていたのはこの人達ね」  ジェレミーは棒付きキャンディーをぺろぺろ舐めながら、安藤を捕まえている日本人を指差した。  よく見れば、外国人と日本人が入り混じって安藤を押さえ付けている。 「初めまして、龍禅さんに雇われてこの一ヶ月ボディーガードをしていました江川(えがわ)です、よろしくお願いします」  江川さんと名乗った人が律儀にも名刺をくれた。 「海斗が?」 「ボディーガードを依頼されました。こちらはどうしましょう? 警察に突き出しますか?」 「えっ……」  江川さんが安藤を指差している。  警察に突き出すなんて、さすがにそこまでする気にはなれなかった。
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